肉体改造を始めるにあたり、私は自宅トレーニングの環境構築について真剣に検討していました。 限られた予算とスペースの中で、最も効率的に全身を鍛えるにはどうすればいいか。
色々とシミュレーションした結果、私の買い物リストの最上位に来たのはダンベルではなく、「20kgのウェイトベスト」でした。 これには、私なりの明確な3つの採用理由がありました。
私がウェイトベストを購入しようとした3つの理由
理由1:「握力」の限界を回避するため
私のトレーニングのメイン種目は、片足で行う「ブルガリアンスクワット」です。 この種目で負荷を高めようとすると、通常は重いダンベルを両手に持つことになります。しかし、脚が限界を迎える前に、ダンベルを持つ「握力」が先に力尽きてしまう懸念がありました。 ベストなら着るだけなので手ぶらで済み、脚のトレーニングだけに集中できると考えたのです。
理由2:減量による「負荷ダウン」を補完するため
私は1年でマイナス14kgの減量を計画しています。 自重トレーニングにおいて、体重減少はそのまま「負荷の低下」を意味します。せっかく筋肉がついても、負荷が軽くなってしまっては成長が止まってしまいます。 軽くなった体重分を物理的に補い、トレーニング強度を維持するために、重りが必要だと計算しました。
理由3:全種目に対応する「汎用性」
腕立て伏せ、懸垂、スクワット。どの種目を行うにしても、ベストを着てしまえば一律で負荷をブーストできます。 ダンベルのように種目ごとに持ち替えたり、セットポジションに入るまでの手間もありません。「着るだけ」という手軽さは、継続する上で大きなメリットだと思いました。
「これこそが自宅トレの最適解だ」 そう確信し、Amazonで8,800円の丈夫そうなベストを見つけ、カートに入れる寸前までいきました。
しかし、念のため、私のトレーニングメニューを相談している「AIトレーナー(Gemini)」に、この完璧な計画について意見を聞いてみることにしたのです。
まさかあんな、ぐうの音も出ない「論破」をされるとも知らずに。
AIへの相談内容
私は自信満々にこう尋ねました。
私: 「これから自宅トレーニングを始めます。減量による負荷減少の補填や、握力を消耗せずに脚を追い込むために、20kgのウェイトベストを最初に買おうと思うんだけど、どう思いますか?」
論理的で隙のない質問だと思っていました。「素晴らしい戦略ですね!買いましょう!」と言われる準備はできていました。
しかし、AIから返ってきた答えは、予想の斜め上を行くものでした。
AIからの衝撃的な回答
AIトレーナー: 結論から申し上げますと、現時点での購入は不要です。
なぜなら、あなたの現在の体重(96kg)と標準体重(約75kg)の差を計算してください。 あなたはすでに、日常生活において「約20kgの肉のウェイトベスト」を、24時間365日着用している状態だからです。
……はい?
私は思わず、自分の腹を見下ろしました。 そこには確かに、Amazonで売っているベストよりもフィット感の良い、天然の加重装備が巻き付いています。
AIはさらに畳み掛けてきました。
AIトレーナー: 多くの人が「重りを足そう」としますが、あなたの場合は「自分の体重そのもの」が、ジムにある高重量ダンベルと同じ役割を果たしています。
96kgの身体で腕立て伏せや懸垂をすることは、標準体型(60kg〜70kg)の人が、20kg〜30kgのプレートを身体に巻き付けてトレーニングしているのと同じ強度です。
今のあなたに必要なのは、さらに重りを足すことではなく、「今着ている天然のベスト(脂肪)」を、トレーニングという燃料にして燃やし尽くすことです。 Amazonのベストを買うのは、その天然ベストが脱げた後(痩せた後)で十分間に合います。
「脂肪」=「資産」というパラダイムシフト
パソコンの前で、私は「なるほど…」と唸ってしまいました。 悔しいけれど、完全な正論です。
私は今まで、この96kgという体重を「ただの脂肪」「動けない足かせ」だとネガティブに捉えていました。 しかし、AIの視点は違いました。
「あなたは、無料で使える20kgの高機能ウェイトをすでに装備している」
そう言われた瞬間、自分のプニプニしたお腹や太ももが、急に「トレーニング機材」に見えてきたのです。
階段を登るのがキツイ? → そりゃそうだ、20kg背負ってスクワットしてるんだから。 懸垂が1回もできない? → 当たり前だ、20kg加重懸垂なんて上級者でもキツイ。
「できない」のではなく、「負荷が高すぎる」だけだったのです。
結論:現時点での購入は見送りました
AIトレーナーのガチ突っ込みのおかげで、私は8,800円の無駄遣いをせずに済みました。
私の当面の目標が変わりました。 「ウェイトベストを買って鍛える」のではなく、 「今着ている『ミートテック(天然ベスト)』を脱ぐために、この重さを利用して鍛える」。
そして、半年~1年後。 脂肪が落ちて体重が軽くなり、自重トレーニングが物足りなくなったその時こそ、あのかっこいい20kgベストを買おうと思います。
「天然のベスト」から「本物のベスト」への着替え。 それが私の肉体改造のゴールになりそうです。
それにしてもAIさん、オブラートに包んでいるようで、結構ハッキリ言いますよね…。でもおかげで目が覚めました。


